長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

執筆責任:井口豊(長野県岡谷市・生物科学研究所


2016年のTBSのドラマ・神の舌を持つ男,7月8日第1話「殺しは蛍が見ていた」,ホタル生態に関しては,私が監修した(番組終わりの字幕に,名前が出てくる)。県外で買ってきたホタルを,地元のホタルとして観光客に見せる町の姿は,辰野町がモデルである。


ホタル関連で私が監修した部分は,私の研究室ブログにも載せた。


水森かおり「辰野の雨」にも歌われた松尾峡ゲンジボタルだが,現在では観光用に大量移入された外来種である。その移入行為によって,昔から生息していた天然(在来)ゲンジボタルは絶滅に追い込まれた。


松尾峡ほたる童謡公園に,多額の税金投入で建設された新たな金属遊具は,ホタル保護にも教育にも役立たない。写真左側が,ホタル生息水路であり,幼虫上陸場所には縄を張られている。その脇に金属遊具が建設された。元を辿れば,ヘイケボタル生息地であった場所を,わざわざ潰して建設された遊具施設であり,辰野町の自然破壊の象徴そのものである。

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辰野のホタル問題を,滋賀県・守山市の環境学習会で,2015年10月10日に講演した。

辰野町は,養殖した外来種ホタルを県外に移出もしている(新潟県南魚沼市,大月ホタルの里)。


昭和30年代の天龍川水系の岡谷辰野付近では元祖の蛍は生存出来ず、移入蛍のみ生存,という知恵袋質問があった。しかし,これは辰野町に都合良く解釈した誤解である。松尾峡上流3km,天竜川沿いの岡谷市駒沢には,在来種ゲンジボタルの生息が確認されている。ゲンジボタルの地理的変異と地質学的事件,および,辰野町における移入ゲンジボタル,参照。


辰野町において,松尾峡の外来種ゲンジボタルと山間部に残る在来種ゲンジボタルの比較動画が,fukuokadonax氏によって,YouTubeに投稿されている。


辰野町のホタルガイドでさえ,この町のどこが外来ホタルで,どこが在来ホタルか,知らなかったという知恵袋質問があった。町役場が,住民にさえ,真のホタル情報を隠している証拠である。


辰野町松尾峡は,1926年に「ホタル発生地」として,長野県天然記念物に指定され,さらに,1960年に再指定された。当時は,もちろん,在来種ゲンジボタル生息地であり,見学も無料であった。しかしその後,観光用に外来種ゲンジボタルの移入・養殖が始まり,有料化された。


長野県内における外来種ゲンジボタルの問題点と誤解は,上高地,志賀高原,辰野町のゲンジボタル:その駆除を巡って,に解説されている。


私の論文「長野県辰野町松尾峡におけるゲンジボタル移入の歴史について」,判明しただけでも,

  • 1961,62 年:滋賀県で買ってきた成虫 4000匹を産卵させ,それぞれ40 万頭と 30 万頭の幼虫を放流
  • 1963,64 年:東京のホテル椿山荘で飼育されていたゲンジボタルの卵,数百万から数千万個をもらってきて放流
さらに,近年にも
今の大量のホタルが見られるようになった要因は,元を辿れば,このような大量の外来種ホタル移入養殖事業があったからであり,断じて,地元に住んでいたゲンジボタルを保護して復活させたわけではない。


平成18年6月の定例町議会,桜井はるみ議員がこの「協力金」に触れて,

今年は入場料取れないようですが、今までにうんと、1,880 万ですか、で、今年はまあ 550 万っていう予想してるんですが同議事録,p.10-11)

議員自ら,「入場料」と述べる,それが外来種ホタル保護育成協力金の実態。移入を隠して儲かるのだから止められない。


上高地にも,辰野町と同じく,西日本から意図的に移入されたゲンジボタルが生息する。2014年から,環境省が,ここのゲンジボタルの駆除を検討し始めた(信濃毎日新聞朝日新聞)。辰野と同じく観光用に使われてきたホタルではあるが,後述するように外来種相当なら,駆除の対象となりうる。上高地のゲンジボタルが外来種であることを示した論文は,辰野町と上高地の移入ホタル問題で紹介されている。


辰野町の現町長・加島範久氏は,そのHPで「自然」を強調するが,前町長・矢ヶ崎克彦氏と同じく,外来ホタル移入の歴史的事実も,それによる生態破壊の事実も,敢えて伏せている。


これらの事実を観光客に伝えないと言う点では,町議会も同罪である。

朝日新聞では,松尾峡ホタルが外来種だと自分では知っていながら,それを読者に全く伝えない記者もいるノーテンキな朝日新聞記者のつぶやき)。


生物多様性国家戦略2010には,「外来種とは,野生生物の本来の移動能力を越えて,人為によって意図的・非意図的に国外や国内の他の地域から導入された生物」と説明されている。国立環境研究所の外来種の説明にも,「外国由来に限らない」と強調されている。つまり,松尾峡のゲンジボタルは,外来種そのものなのである。しかもゲンジボタルに関しては,国家戦略の中で特にその名前を挙げて,遺伝的・生態的多様性を保護すべき貴重な生物と見なされている。


北海道でゲンジボタルを国内外来生物として規制することを検討中,という(日本経済新聞)。ホタルで町おこしと言う点では,沼田町も辰野町も同じである。しかし異なるのは,元・沼田町長・篠田久雄氏が,「町と専門家らが蛍との関わりを協議する場の設置を求める」と述べている点である。辰野町の政治家からは,このような声は全く出ていないし,以前それを私が提案しても無視された。これは,沼田町ではホタルを道外から移入したと公言しているのに対し,辰野町では移入を隠してきたという歴史的理由も関連している。


2013年の全国ホタル研究会で,草桶秀夫・福井工大教授が,辰野のゲンジボタルDNA分析結果を改めて示し,松尾峡では関西からの移入ホタルが養殖されていると結論づけた。その上で草桶氏は,ホタル養殖に関して,全国の自治体に情報公開を呼びかけた。ホタルを移入した場合や移入であることが判明した場合,少なくとも役場や役所など自治体が関わるホタル飼育事業であるならば,移入元を公表するのが自治体の責務だ,と草桶氏は訴えた。


私のHPにも書いたが,私や草桶氏は,松尾峡の移入ホタルを駆除しろとか,ほたる祭りに使うなと主張しているのではない。もはや移入ホタルがこれだけ繁殖してしまうと,それを在来に変えることは困難であるし,コストもかかるし,駆除で新たな生態破壊が生じる可能性すらある。しかし辰野町にも,松尾峡以外には,在来種(天然)ゲンジボタルが残存しているのである(参照:辰野の在来ホタル 辰野に元々住んでいた自然のホタル)。だから,外来種外来種として,在来種は在来種として,区別して保護に取り組んでほしい,ということなのだ。町内外問わず,知恵を集めて,「在来種保護」を掲げた「エコタウン」作りに取り掛かってほしい,とお願いしているのである。


しかしながら,ホタルを大量移入したことや,それで在来(天然)ホタルを絶滅させたことを公表したくないし,移入か在来かと区別したくもない,というのが,辰野町役場,町議会,そし町長の考えである。公表したくない,というのは,観光客に対してだけでなく,町民にも知らせたくない,ということである。それどころか,全体で増えれば,在来ホタルが減ったとしても良いではないか,観光客は区別しない,とまで言ってきた(参照:「ホタル保護条例」が問いかけるもの。これでは,ホタルの在来生態系は悪化の一途である。もちろん,移入・在来ホタルの生態調査をする気もないし,それをどこかに依頼しようという気も全く無い。


下の写真が,松尾峡の移入ホタル養殖場であり,ほたる祭りには,多くの観光客が訪れるホタル鑑賞スポットでもある。天竜川およびJR飯田線沿いに拡がる「蛍の名所」として古くから知られてきた。もちろん,ホタルの移入養殖事業が始まる前から広く知られており,それゆえ,長野県の天然記念物指定地ともなっている。

 移入で天然ホタル絶滅の辰野町松尾峡


辰野ほたる祭り,67回の歴史の中で,当初のホタルは,天然記念物指定当時の,文字通り,天然のホタルであった。しかしその後,観光用のホタル移入増殖事業で,松尾峡の自然のホタルは,すっかり絶滅してしまった(辰野の移入(外来)ホタル 生物多様性の喪失へ)。


現在でも,辰野町ブログなどでは,「東日本随一といわれるゲンジボタル発生地は長野県の天然記念物に指定されており、豊かな自然環境に恵まれている。」と自慢しているが,今述べたとおり,天然記念物指定当時のゲンジボタルは絶滅に追い込まれてしまっているのである。


旅行会社サイトでも,例えば,るるぶ.comの松尾峡(ほたる童謡公園)の紹介記事などは,ゲンジボタル(自然発生)となっていて,辰野町のキャッチコピーを鵜呑みにした事実誤認記事となっている。


Google マップの松尾峡を見れば,移入の歴史や生態調査の結果を知らなくても,ここのホタルが人工的に養殖されていると分かる。


大量のホタルが同時明滅するのも,移入元である関西(西日本)ホタルの特徴なのである。


この問題を,県天然記念物の所管である文化財・生涯学習課に訴えたときには,「町民が何とかしようと思えば,後ろからプッシュできるが・・」と言われた。町民自らが,という指摘は良く分かるのだが,何とも歯がゆい対応である。


ウィキペディアの松尾峡の項目,2013212()の版では,以下のホタル移入の説明をバッサリ削った人がいた。


ホタル飼育の問題点


1960年代に,主として観光目的で地元産ゲンジを補うために,膨大な数のゲンジが他県業者などからの購入や譲渡によって繰り返し放流された。この事実は意外と知られていない。最近の研究によって,松尾峡のゲンジは,すっかり移入ゲンジに入れ替わってしまい,ここに元々いた天然のゲンジとは系統も発光周期も異なることがわかってきた。

このように、人為的移入種が在来種を駆逐し,生物多様性が損なわれてしまった典型的な地域となっている。

辰野における移入ホタルが、本来地域集団が有していた特性を撹乱しているとの指摘が、長野県生物多様性概況報告書にも記述された。


天然記念物指定地としての松尾峡


松尾峡のゲンジは、ホタル自体が天然記念物とか,保護した自然のホタルが増えてきたとか誤解されることがある。しかしながら,上述のように,生息地(環境)が天然記念物なのであり,他県からの移入養殖によって個体数が増えたのである。生息地指定の天然記念物であるため,過去における他県からのゲンジの移入放流事業も問題とはならなかった。しかしその結果,天然記念物指定地でありながら,天然ではない移入放流され養殖されたホタルが生息している。


とにかく外来種ホタルであることを隠したいのだ,と改めて思った。


なお,外国人向けの長野県の公式観光ガイド

Nagano Prefectural Official Tourism guide
にも,辰野の移入ホタル問題が掲載されている。

生態系の保全や復活に取り組む個人・団体に対しては,環境省が2009年に,生物多様性民間参画ガイドラインを策定して,外来種問題にも繰り返し言及しているのだが,辰野町の場合,ホタルに関する限り,知らん顔である。


改めて述べるが,辰野町松尾峡のゲンジボタルは,長野県天然記念物に指定された後,観光用に増やすため,関西の業者から大量に購入移入し増殖されたものである。その結果,松尾峡に本来いた在来ゲンジボタルが絶滅してしまった。つまり,交雑も起こらず,移入ホタルばかりが増えたことが,DNA解析から分かってきたのである。


辰野町における外来種ホタル問題は,2011年に長野県環境保全研究所が発表した「長野県生物多様性概況報告書」にも記された(p56)。

ゲンジボタル全体として見れば,本州・四国・九州に広く分布し,希少種というわけではない。しかし例えば,本州中部の中間型と呼ばれるゲンジボタルの分布範囲は限られている。辰野のような内陸地域で無制限に移入ゲンジボタルを増殖させれば,広範囲にわたって中間型が絶滅してしまう可能性がある。中間型ゲンジボタルが,絶滅種や絶滅危惧種と同様な問題を抱えるかもしれないのである。これは,生物多様性の危機そのものである。


辰野では,町内や近隣地域にゲンジボタルが当時生息していたにもかかわらず,それらを採集して増やすのは大変だから(辰野町誌の記述)という安易な理由で県外から購入し放流した結果である。


既に述べたように,県外業者から何年にもわたって移入放流された卵や幼虫は,実に 数十万から数千万だと言うのだ。つまり,県外業者から仕入れたホタルを放流・増殖させて,今の大量のホタルが見られるのであり,それを観光客に隠して,町は経済的に潤っているのである。

その事実を知った観光客から,「甘い汁を吸って抜け出せないのは原発と同じ」という感想も述べられているが,経済的に潤えば何でも有り,という感が,ここ辰野町にも漂う。


移入自体は過去のことだから仕方ないとしても,その移入ゲンジボタルは下流へ拡散増殖し,そこでも在来ゲンジボタルが減少していることが,私や草桶秀夫教授の研究で分かってきた。


ところが町役場は,私たちが,何度申し入れても移入ホタルの拡散軽減,在来ホタルの保護対策を採ろうとしないのである。それどころか,役場に移入ホタルの影響調査をしたいと言うと,「学会で結果発表するのは勝手だが,マスコミに話すなら調査を認めない」と言われてしまったのである。


2008年,この辰野移入ホタルの弊害が明らかになると,いくつかの新聞がそれを報じた(朝日新聞,6月17日長野・中南27面; 毎日新聞,6月22日長野・南信25面; 読売新聞夕刊,7月28日13面)。


すると後日,役場庁舎内で,ホタル保護担当のH課長補佐(当時)から,
なんで新聞社に言うんだ!!
と私は怒鳴られてしまった。役場に,抗議の電話がジャンジャンかかってきたというのである。ちょうど,生物多様性基本法が成立した時期でもあった。


そんな事態が生じたのにも関わらず,町議会で誰一人,今もってこの問題を取り上げない


2008年,辰野町役場は,県自然保護課の塩入茂・課長(現・林務部長)から
ホタルが町おこし役立っているのは事実だが,生物多様性にも配慮を
という指摘を受けた。しかし,これも全く無視。生物多様性基本法の観点からは,いわば違法状態の町である。


驚きの極めつけは,2009年,前町長・矢ヶ崎克彦氏の弁。
12月15日の第14回辰野町議会定例会で,

ホタルの移動事態は自然の生物のホタル体系を崩すもとであるというようなことも大きな問題

平成21年第14回辰野町議会定例会会議録,14 日目,p.20)

と述べているのである。


これ当初,何の話かと思ったが,実は,松尾峡ホタルを無断捕獲し,東京へ持って行こうとした会社員が,役場職員に警察へ突き出され,役場の要請?で送検までされた事件の話であった。


自分たちがやってきた外来種ホタル移入には知らん顔しながら,このような答弁なのである。


ちなみに,この松尾峡ホタル盗難事件では,町役場は警察には,移入養殖ホタルとは一言も言わず,それで,天然記念物保護条例違反,ということで会社員が送検されたという,いわくつきの事件であった。だから,養殖しているホタルを盗んだ,ということより,天然記念物指定地を傷つけた,ということで地元新聞紙に大きく取り上げられた事件である。

前町長・矢ヶ崎氏の,この開き直りとも取れる姿勢,町議会に反対勢力がいないことも幸いしていた。外来ホタル移入の事実も,その弊害も公にしない,という点でも,矢ヶ崎氏と議会は一致していた


平成18年6月の定例町議会では,桜井はるみ議員の質問に答えた矢ヶ崎・前町長が,

「昭和 40 年にホタルの絶滅の危機にも瀕した中での、いろんな反省点の中からホタルを自然発生するように頑張っている」

と述べているが(同議事録p.8),質問にも答弁にも,移入の「い」の字も出ないのである。まさに茶番劇である。繰り返すが,県外からほたるを大量移入して,今に至るのである。しかも,町長も議員も役場も,それを知っているのである。


2010年,ホタル保護条例改正に先立って,せめて議会で在来ホタル保護を取り上げて欲しい,と私は共産党を含む町議に文書を送ったが無視。それが盛り込まれない条例に異議を唱えるどころか,質問すら全くせず,共産党を含む町議全員「異議な~し」で可決されてしまった(平成21年第14回辰野町議会定例会会議録,14 日目,p.4-5)。


これではまるで小学校の学級会である。役場が迷惑だと言うほど抗議の電話がかかってきた問題だというのに,町議は誰も異議はおろか,質問すらしないのである。


この改正,前述のホタル持ち出し事件を受けて,そのような行為を厳罰化する,という改正であった。この改正条例の驚くところは,観光地・松尾峡だけでなく,辰野町へ一歩でも足を踏み入れてホタルを取ったら罰金(役場の話),というものなのである。もし,町の子供たちがホタルを捕りたければ他市町村へ,という内容だから驚いてしまう。今なお,観光産業優先,生態系無視の公共事業しかできない町の姿がここにある。


このホタル問題に関して,長野県大町市の牛越徹市長から,私は以下のようなメールを頂いた(2010年1月18日)。


辰野町では,ホタル養殖に行政が関与するのであれば,在来種保護は一層重要。解決に時間がかかっても勇気を持って方向を転換すべきだ。」(内容は筆者要約)


しかし,こんな他自治体の声も,辰野町役場には馬耳東風である。


最初にも述べたが,私たちは,移入ホタルを駆除しろとか,使うなと言ってるのではない。周辺の在来ホタルへの影響を抑えるような方策を皆で一緒に検討して欲しい,と役場に提言しているのに無視されているのである(参照:辰野町への政策提言)。


その最大理由は,移入したことを隠して,地元のホタルを保護し増やしたかのように宣伝して,外来種ホタルを観光に利用し,収入を得てきたからである。


辰野町を訪れた昆虫写真家・ 海野和男氏に対しても,役場は
ここで見られるホタルは全てここで育ったもの
と説明。


海野氏は
「確かにこの環境なら放流の必要など全くないだろう」
と感心したが,実は見事にだまされたという感じである。


また,日本のホタル研究の第一人者・大場信義氏は,フォッサマグナ西縁,つまり糸魚川-静岡構造線を挟んで,辰野町・松尾峡と諏訪盆地や甲府盆地で,ゲンジボタルの発光周期が異なることから,この構造線がゲンジボタルの東西二型の分布境界であると考えた(ゲンジボタル,文一総合出版,1988)。


しかしながら実は,大場氏が辰野町を訪問した時,松尾峡ホタルが県外からの移入だと説明されなかったのである。もちろん,辰野町役場は移入ホタルであることを知っての上の話である。


現在では,当然ながら,ゲンジボタルの発光周期やDNAの地理的境界が糸魚川-静岡線ではないと判明している(参照:ゲンジボタルの地理的変異と地質学的事件の関連)。


また,卒論で辰野の蛍保護を調べた滋賀県立大の学生・福神啓太にも,移入して増やした事実を全く伝えなかった。結局,卒論を書き上げ,ネットで公開後,指摘を受けた指導教授の井出慎司氏が追加コメント書くはめになった。


ホタルだけでなく,カワニナも県外から移入された。最近になって,辰野町にはカワニナとともに,有害外来種の巻貝コモチカワツボが生息しているとの報告が,2010年11月10日に長野県庁で開かれた「生物多様性長野県戦略策定委員会」でなされ,これも前述の長野県生物多様性概況報告書p55に記された。


ほたる童謡公園の付近は,ホタルシーズンが過ぎると,閑散としているため,パラグライダー愛好家の格好の着陸場所となっており,愛好家たちで賑わうのを役場もずっと黙認してきた。その結果,最近起きたのがパラグライダーの女児激突事故。いったい,何のための,誰のための公園作りだったのか。


田舎町のためか,住民もホタルに関しては,役場に異論・反論を唱えにくい雰囲気がある

2011年1月17日,
辰野町役場で,生物多様性保全に向けた生物多様性地域懇談会という会議が開催された。しかしながら,その内容が,また唖然とするものであった。


その冒頭部分で

動植物の保護や、外来種の駆除が取り上げられている。地域での生態系を含む取組が注目されている。辰野はホタルの町ということでホタルの位置づけは重要な問題

と述べられる。


しかしその中で,移入ホタルの話は皆無なのである。役場内の生物多様性会議では,移入ホタルの話はゼロなのである。


複数の大手の新聞に取り上げられ,電話では苦情が殺到し,県庁からも指摘され,それでもなお,役場内では誰も触れたくないし,触れようとしない雰囲気が漂う。

2011年7月,辰野の下流, 箕輪町の町長・平澤豊満氏に,辰野の移入ホタル拡散の可能性を伝えたところ,同町郷土博物館の柴秀毅氏へ転送され,メールで返事が来た。辰野からは,全く知らされてなかった,というのが真相らしい。周辺自治体の生態系への影響など,辰野町は知らん,ということである。

ホタル移入は仕方なかった,他地域でもやったところがある,移入でも重要な観光資源,などなど様々な言い訳も聞こえてくる。しかしながら,辰野の場合,今なお何ら対策を採らず,しかも公共事業で税金を投入し生態破壊をやっている,という点で,その無責任さが際立っている。


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