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直腸膣瘻 ちょくちょうちつろう 直腸ちつろう 直腸膣ろう 膣直腸ろう 膣直腸瘻 腸管膣ろう に対する治療

ライターさん(最終更新日時:2017/4/18)投稿日:

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 直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう)に対する治療

 直腸膣瘻は聞きなれない病名かもしれませんが、分娩後に会陰部が裂け、分娩後に縫合されますが、しばらくして膣よりガスや便が漏れたりする病気です。特に会陰裂傷のひどくなった人に起こりやすいと言われております。頻度は不明で、稀ではありますが、これになった患者さんは非常に苦痛な思いをされております。 
 (*ここでは分娩時などによる会陰裂傷後の直腸膣瘻の治療方法を述べており、潰瘍性大腸炎やクローン病などによる炎症性腸疾患、直腸癌術後や婦人科癌手術からの腸管膣瘻は対象としておりません。)

病因:多くは分娩時に生ずる会陰裂傷によりその後の創部の深さのひどいものや縫合後の創部感染などにより、直腸と膣に交通ができます。そのため膣より便やガスが漏れたり、膣内の感染をきたしやすくなります。

 会陰部裂傷の程度により4度に分類する。

 第1度:会陰の皮膚や粘膜に限定される傷で、筋層には達しない傷で、多くは縫合の必要ありません。傷も1週間前後で自然治癒します。

 第2度:球海綿体筋(膣の周りの筋肉)や浅会陰横筋肉に裂傷が及び、多くは縫合の必要があります。第2度までは、一般的に起こりうる裂傷ですので、医師の方も慣れており、縫合は10分程度で終わることが多いようです。

 第3度:外肛門括約筋や直腸腟中隔に達する裂傷で、必ず縫合します。肛門括約筋は肛門の周囲を取り囲む輪ゴムのような筋肉で、この筋肉が断裂したまま治癒すると肛門のしまりが緩くなるので、これを防ぐために筋肉を引き寄せる必要があるからです。筋層縫合には時間がかかり、1時間程度要することもあります。第3度裂傷では、骨盤底筋群全体が弱くなるため、将来的に尿失禁や便失禁の可能性があります。

   第4度:外肛門括約筋や直腸膣中隔に加え、肛門粘膜や直腸粘膜まで及ぶ裂傷。

治癒までにかかる期間は、表面上治癒するだけでも2〜3ヶ月程度です。しかし、会陰が薄い状態のまま傷が治ってしまったり、肛門括約筋が断裂したまま傷が治ってしまうと、便やガスが漏れたり、性行為にも支障きたしたり、まれに直腸膣瘻となり、膣にガス漏れし、肛門科などで「会陰形成術や括約筋形成術など」を日を改めて行うことも少なくありません。

いずれにしても第4度会陰裂傷では、裂傷が発生した時点で、肛門外科医との連携が望ましいです。   

  新鮮な裂傷は分娩時にただちに縫合すれば容易に治療しますが、放置したり、感染などを起こすと、組織の欠損や瘢痕形成により会門が哆開(傷が開くこと)し、陳旧性会陰裂傷を残します。中でも第3度・4度で直腸膣瘻を形成したものが問題であり、数回の手術(会陰形成術など)を施行しても再発・治癒しないことがあります。

 また直腸膣瘻は無いけれども、分娩後の便失禁・便漏れ、尿漏れなどの症状がある場合、肛門括約筋機能不全といわれ、後述しますが、この会陰裂傷と同じ病態である会陰横筋の離解によるものと考えられ、2度以上で起こると考えられます。この場合も同じような手術を行います。

 

症状及び日常生活での困難さ

  • 膣への便のもれ、ガスもれ
  • 便失禁:膣から漏れた便や肛門括約筋機能不全を合併していると肛門から便が漏れる。
  • 排便時痛・違和感
  • 痔核の合併
  • 尿漏れ
  • 尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)
  • 性交時痛
  • パートナーへの感染(膣に便が漏れるため)

*特に性交に対する苦痛もさることながら、次の子供が欲しくても膣ろうの再発・悪化のことを考え妊娠を諦める患者さんもいれば、妊娠しても経膣分娩は再発及び悪化するため、帝王切開をされる患者さんが多い。

括約筋機能不全(便もれ、ガス漏れ)の患者は比較的年齢が60歳近くになってから来られる場合あり、これは年齢とともに骨盤底筋群の機能低下により徐々に起こってきた可能性もあります。

治療方法:さまざまな治療法があり、婦人科・外科・肛門科・形成外科などによりさまざまである。

  1. 会陰形成術ならびに人工肛門形成術または中心静脈栄養による約1ケ月の絶食。
  2. 瘻孔に対し人工メッシュにより閉鎖する方法。

 上記が多くの病院でされているが、本当の治癒手術をなされてる施設は非常に少ない。1は穴をふさいだだけの手術で、要するに表面の膣壁や直腸壁をきれいに縫合しなおしただけの手術であり、術後は創部に便が当たらないように、術後便を通さないような人工肛門造設したり、中心静脈栄養にて長期絶食にしたりされます。しかし、これは非常に患者に負担がかかることと、多くは創部は出産前の正常な状態に戻っていないため、人工肛門があるときや、絶食中は一見直ったように見えても、食事再開後(人工肛門閉鎖後)に肛門から便が出るようになると多くは再発します。

2も同様に瘻孔を閉鎖しただけの手術であり、人工メッシュが感染起こすと取り出さなくてはいけないことと、人工物がずっと残ることにより、違和感が残るデメリットあります。

 患者さんは人工肛門や絶食まで経験して再発した場合、もう直らない思いこれ以上の治療を諦める患者さんもおられます。しかしそういうう患者さんでも次の治療法により完治された患者さんが多くおられます。


本当の意味での直腸膣瘻手術

 私がこれから述べる方法は分娩後の会陰裂傷後によるもので、潰瘍性大腸炎やクローン病、直腸癌術後による直腸(腸管)膣瘻は対象ではありません。

 まずこの病態ですが、直腸から膣へ便が漏れるだけでなく、尿漏れを起こす患者さんもおられます。そのような患者さんの直腸と膣を観察しますと、会陰部(肛門から膣まで)がほとんどなく、数ミリから2cm程度の隔壁によって形成されおり、まさしくペラペラの状態です。通常では会陰部の肛門と膣との距離は約4、5cmは離れています。直腸から膣にかけての瘻孔は、患者さんによってさまざまで、1cmくらいの穴の開いた人もいれば、針穴があるかないかくらいの人、また全くない人もいます。また見た目上穴がなくてもガスが膣へ漏れたり、下痢の時便汁が漏れる人もいます。

 この膣瘻の病因で「第2度:さらに深部に進み会陰の筋層に及ぶ裂傷」とありますが、それがまさしく会陰横筋の損傷です。この筋は坐骨から起こり、膣の両サイドを通り、膣後壁に沿い、外肛門括約筋の前で左右が合します。すなわち正常では膣と直腸肛門の間に会陰横筋が存在するわけです。しかし直腸膣瘻ではこの会陰横筋が正中で合するところで両サイドに離れてしまっています。恐らく分娩時に産道が大きく開いた時にこの筋が左右に離れてしまったのでしょう。この筋が作用しないと、尿漏れや膣を締め付ける作用がなくるばかりか、通常の排便もできなくなります(便失禁)。中には便が前方に出ると言われる患者さんもおられます。この離れた筋肉を中心に合わせることがこの治療の中心となります。したがって、瘻孔がある無しどうこうではなくこの筋が損傷されているかどうかです。直腸膣瘻の患者さんは100%この筋肉が離れてしまっています。したがっていくら膣壁や直腸を縫合しなおしたところで排便などでいきむとすぐに再発や漏れが起こります。また例え直腸膣瘻がない患者さんでも、会陰裂傷後で直腸と膣との距離が近く、尿漏れや、便漏れ、肛門潰瘍、または排便時に便が以前(分娩前)より前方方向に行くなどの症状あれば、この筋肉の損傷を受けている可能性が高いです。この場合、肛門括約筋機能不全と呼ぶ場合がありますが、これもほぼ同様の手術を行います。直腸膣瘻を手術される医師の多くは括約筋が断裂し、瘻孔の切除や括約筋の修復に努められておられますが、ほとんどこの方法だと再発してしまいます。左右に離開した会陰横筋を縫合し、合わせることで会陰部(膣と直腸の間)を十分に距離を取る必要があり、これをしないと、再発または便もれやガス漏れは続きます。


 次に実際の入院・手術ですが、手術日の前日の夕食まで食事可。眠前に下剤を内服し手術当日朝より絶飲食。手術は腰椎麻酔(サドルブロック)で体位はジャックナイフ体位(うつ伏せでお尻を突き出すような体位)。直腸と膣の間(数ミリ)にメスを入れ、丁寧に直腸壁と膣とを奥まで分けます。左右に解離した会陰横筋を見つけ、これを吸収糸縫合し、左右を合わせて行きます。すると横に切ったはずの創が縦の創になり、肛門と膣との距離が4、5cmくらいになります。言葉では簡単そうに思われますが、最初の剥離から筋肉の縫合に至るまでは非常に困難な作業で、前述のペラペラの隔壁を直腸側と膣壁を互いに損傷しないように分けて剥離していかなければなりません。しかも多くの人は2回、3回と手術されているので、この組織が硬くなり直腸と膣との境界が分かりにくく、非常に繊細な手術であります。手術時間は約2時間前後(手術回数や癒着の程度で変わります)です。膣瘻の状態は針穴くらいの方から直径3cmくらいまで大きく開いている方もおられますが、基本同じ手術を施行します。

 術後は翌日より食事開始し、術後約7日前後で退院可能となります(合併症がない場合)。もちろん人工肛門や中心静脈栄養による長期絶食も必要としませんし、通常の排便をしていただけます。術後痛みと軽度の腫れはありますが、鎮痛剤や軟下剤で排便をスムーズにします。合併症としては出血や創部感染などありますが、現在のところそのような患者はほとんどなく、再発は現在のところゼロです。さらにこの手術後に経膣分娩された患者さんもおられます。また術後に直腸もしくは膣からの造影剤のよる漏れの検査など全く必要としません。

終わりに

 直腸膣瘻の手術は直腸・肛門及び膣に対する解剖を熟知していないと出来ません。実際、婦人科医は肛門直腸に対する治療の知識が少なく、外科医(肛門外科医)は膣や産婦人科手術に対する知識が少ないと思われます。また大学病院や大きな総合病院でもこれに対して治療ができる医師は少ないと思われます。
 直腸膣瘻が難治性と言われる原因として

  • 直腸膣瘻の患者が少ない(肛門科医でもまれな疾患であり、病態をわかっていない医師が多い。よって何度手術しても再発繰り返す場合が多い)。
  • 直腸肛門ならびに膣周囲の両方の解剖ならびに手術に知識に精通している医師が少ない。
  • 直腸膣瘻に対する治療法の書いた文献や手術書がない。

などの理由が考えられます。

 直腸膣瘻の手術点数は22450点であり、これは割と高い手術点数であります。点数が高いということは術式がそれほど難しいまたは稀な手術ということでもあります。

 またこの病気は癌とかと違い、生命にかかわるようなものではございませんが、患者さんのQOLをかなり悪くするものです。しかし、患者さんは恥ずかしがって受診されない、または勇気を出して受診してもこの病気をあまり知らない医者が多く、産婦人科や外科の医師でもこの病気は完全には治らないものと思っておられる先生もおられ、きちんとした診察および治療がされていないのが現状です。多くの患者さんは子供がいて長期入院など出来なかったり、遠方のため難しいと思われる患者さんが多く、子供が大きくなって落ち着いてからと考えておられる人もおられるようです。全国的にもこのような手術をしている施設は少ないです。治療後希望の方は一度「ジネコ」「直腸膣ろう 京都」で検索してみてください。他院で手術して再発した患者さんも治っている方がほとんどです。




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