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よくある誤用32──敬語編2「~させていただく」「~させていただきます」「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」

ライターさん(最終更新日時:2017/1/3)投稿日:

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「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」と書くほうが正確でしょうが、「~させていただく」と書いておきます。
 下記の【参考資料】などを要約します。

 近年評判が悪い敬語表現のひとつが、「~させていただく」です。「~させていただく」が「二重敬語だから誤用」という珍説も目にします。

「させていただく症候群」などというもっともらしい呼称もあります。

「~させていただく」自体は「誤用」などではありません。「乱用するとみっともないので気をつけよう」ということです。 


 

●第1段階の説明(初級向け)
 文化庁の「敬語の指針」のP.40〜41に解説があります。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf

 ↓

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf


 基本的には「ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる」とのこと。

================================
1)相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現
「コピーを取らせていただけますか。」
2)研究発表会などにおける冒頭の表現
「それでは,発表させていただきます。」
3)店の休業を張り紙などで告知するときの表現
「本日,休業させていただきます。」
4)結婚式における祝辞の表現
「私は,新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です。」
5)自己紹介の表現
「私は,○○高校を卒業させていただきました。」
 

 上記の例1)の場合は,ア),イ)の条件を満たしていると考えられるため,基本的な用法に合致していると判断できる。2)の例も同様だが,ア)の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため,「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようである。3)の例は,条件を満たしていると判断すれば適切だが,2)と同様に,ア)の条件がない場合には「休業いたします。」の方が良いと言えるだろう。4)の例は,ア)とイ)の両方の条件を満たしていないと感じる場合には,不適切だと判断される。5)の例も,同様である。ただし,4)については,結婚式が新郎や新婦を最大限に立てるべき場面であることを考え合わせれば許容されるという考え方もあり得る。5)については,「私は,卒業するのが困難だったところ,先生方の格別な御配慮によって何とか卒業させていただきました。ありがとうございました。」などという文脈であれば,必ずしも不適切だとは言えなくなる。
 なお,ア),イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。上記の2)~5)についても,このような用法の具体例としてとらえることもできる。その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。
================================
 


●第2段階の説明(中級向け)
「敬語の指針」は一応の解説にはなっています。ただ元々の問題が微妙なんで、スッキリしない部分が残ります。
 結局どうすればいいのかがわかりません。
 よく見る解決策として、「〜いたします」にすればいい、というのがあります。
 そのとおりだと思います。↑の「敬語の指針」の例で言うなら、下記のようになります。

1)取る→?
2)発表する→発表いたします
3)休業する→休業いたします
4)勉強した→勉強いたしました
5)卒業した→卒業いたしました
 

 2)〜5)はこの形でOKでしょう。でも1)はどうしますか?
 悪い例としてあげられることが多い「歌わせていただきます」場合はどうしますか?

 場合によっては「お/ご~いたします」にできることもあります。

  答えさせていただきます

  →お答えいたします


 1)は「お取りいたします」にはできません。「お歌いいたします」も×でしょう。 結論としては、「〜いたします」にできるものはそうすればいいことが多い、くらいでしょうか。「誤用」だとか「クドい」だとかメクジラを立てるのはどうかと思います。

 「~させていただく」がすべておかしいわけではないので、個々の例で判断するしかないということです。

 その際には以下の点に注意するとよいでしょう。


①「許可」「恩恵(受益)」の2つの要件を満たしているか

②「〜いたします」で十分ではないか

③敬語ではない形にして考えてみる


 具体例は下記をご参照ください。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13101909118

※なんで削除されたのだろう?


突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html


 

●第3段階の説明(上級向け)

 敬語関連の名著と言われる『敬語再入門』に重要な記述があります。
 下記の引用部だけではわかりにくいかもしれません。詳しくは同書をお読みください。 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html 
================引用開始
【引用部】 
 ところが、謙譲語IIの代表選手「──いたす」は、「──する」型(サ変)の動詞でなければ使えない、また、文末以外では使いにくい、という制約があります。つまり、先程の例なら「開発いたしました」と言えますが、「新製品を作りました」は、「──する」型動詞でないので「作りいたしました」と言えないし、「新製品を開発した業者です」も、文末ではないので「開発いたしました業者です」は不自然です。この「いたす」の守備範囲の不足を補うように「作らせていただきました」「開発させていただいた業者です」と言う、という面がありそうです。「守備範囲の広い謙譲語IIの形」を求める心理が潜在的にあって、そこに「させていただく」が入り込もうとしているのです。(P.196) 
 つまりそのなんだ。こういうのを読んでしまうと、「プチ発見」のはずが単なる勉強不足になるってことだ(泣)。 
================引用終了 


 下記はさすがの安定感かもしれない。

 5つの類型分けなど、画期的かも。これでもスッキリしない感じが残るのは、すでに当方の感覚がおかしくなっているのだろうか。

 否定的な立場にやや偏っている気がする。

 たとえばよく問題になる「あしたは休業させていただきます」はどこに入るのだろう。これはかなり微妙な線にいるようで、見解が分かれる。

 こういう微妙な例をあげて、識者が話し合いでもしない限り、どうにもならないのかもしれない。

【視点・論点 「させていただきます症候群」】 (NHK)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201117.html


Yahoo!知恵袋だと下記のBAが参考になると思います。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362602693


下記もご参照ください。

【法則10 ベタベタ敬語ナンバーワン「させていただく」は控えめに】

http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20120416/122404/


【参考資料】【「させていただく」=この言葉、気になる? 気にならない?】

http://www.excite.co.jp/News/laurier/column/E1347412552614.html
※さすがに乱暴でしょう。文脈もなしに、「~させていただく」が気になるも気にならないもないでしょうに。世間にはこういうムチャな主張が流布しています。



索引のようなもの。

敬語のミニ知識・改【お品書き】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n105460



【アドバイスへの返信】

zora_ley_mereさん


 一応「いただきます」がついているので敬語ではあるのですが……。

 あんまり多用すると目障りで、敬語としての機能を失ってしまうかもしれません。

 下記は悪い例です。

【「~(さ)せていただく」「~させていただく」「~せていただく」の悪い実例】

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2994.html

http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11945464880.html



【20161202追記】

 「許可」と「恩恵」の考え方は定着しつつある気がする。

 けっこう重要な例外に気がついた。この「依頼」パターンはけっこう自然だと思う。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13166279403(2016/11/02)

===========引用開始

でも実際には、そうでない場合にも広く使われます。

典型的なのは、「(僭越ながら)ご挨拶をさせていただきます」「乾杯の音頭をとらせていただきます」なんて言い方です。これは挨拶をするほうや音頭をとるほうが「許可」をもらったわけではなく、むしろ依頼されて受諾していますよね。

それでも「諸先輩をさしおいて……」という謙遜の気持ちがこういう言い方になるのでしょう。受け取るほうも、そういう受け止めかたをするのでは。

===========引用終了

 ↑では〈依頼されたことを自分がする場合は、Bさんから<許可>をもらったわけではないので、「させていただく」は必要ありません〉としていた常連回答者がすかさず採用してくださったってことは、「依頼」もアリなんだろう。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13167149548(2016/11/24)

===========引用開始

「させていただく」というのは、

相手の依頼や許可を得て「(そう)させてもらう」場合と、

相手の厚意や恩恵を得て「(そう)させてもらう」というような場面

で使われる表現です。

===========引用終了

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