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会社法ワンポイントノート:株式会社の設立(その1:全体的なお話)

ライターさん(最終更新日時:2013/1/4)投稿日:

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●会社法ワンポイントノート:株式会社の設立(その1:全体的なお話)

 行政書士試験、司法書士試験のいずれにあっても必ず出題される重要論点の一つである、「株式会社の設立」に入ります。
 Yahoo!のトップページの検索で、「株式会社 設立」とか入力して検索ボタンをポチッと押すと、行政書士さんや司法書士さんの事務所のWebページへのリンクが山のように表示されると思います。
 行政書士、司法書士共に、株式会社の設立とは非常に重要な業務分野に当たると言うことが言えます。…ということは、試験対策としての学習のみならず、試験に合格した後の実際の実務においても「株式会社の設立」という問題は重要なポイントになるのだということになりますね。心して勉強していきましょう。


1:株式会社の設立手順
 株式会社は、個人の商店のように会社を興すことはできません。
 個人の商店なら、税務署に「開業の申告」(…と、必要なら青色申告に関する申請等も)さえしてしまえば、

 「今日から営業開始しま~す!

 と、お店をオープンすることは可能です。というか、開業が先で税務署への申告が後になっても構わないくらいです。

 ところが、株式会社の場合はそうはいきません。事前にすべきことが会社法の中で決められています
 まずは「とっても大まかに」その手順を示しておきますと…

手順1:発起人定款(原始定款)を作成する
手順2:作成した定款(原始定款)を公証人に認証してもらう
手順3:会社の資本となるお金を出資する
手順4:設立時取締役を(必要なら設立時監査役も)選出する
手順5:会社の設立手続きや出資に問題が無いことを点検する
手順6:必要な書類を添えて会社の設立を登記する

 …というような手順を踏んでいく必要があります。
 主に行政書士の業務範囲としては手順1や2の部分を主軸に、司法書士の業務範囲としては手順6の部分を主軸にして行われることとなります。

 見慣れない用語が登場しているので、ここで補足しておくことにします。

 「発起人(ほっきにん)」とは、『会社を作るぞ!』と、一念発起した人そのものです。発起人は、株式会社が設立された後は必ず「株主」になります。おそらく多くの中小企業では株主でなおかつ取締役になっているものと思われます。
 発起人は会社を設立するために必要な手続きをする責任を負います。

 「原始定款(げんしていかん)」は、実はすでに「定款」のノートの中でもしれっと記述しているのですが、会社を興すために必要となる、一番最初の定款をいいます。

 「設立時取締役(せつりつじとりしまりやく)」や「設立時監査役(せつりつじかんさやく)」とは、会社が設立した後に実際の「取締役」や「監査役」となる人です。設立時取締役や設立時監査役などが選出された時点では、『会社はまだ成立していない』ので、「設立時」という枕詞が付いています。

 会社法における株式会社の設立の問題は、これらの手順をいかに整理して効率よく学習していくのか?という所に成否がかかっていると言っても差し支えないでしょう。

 さて、まず最初に覚えておくべき『』重要なポイントがありますので、これをまずはバッチリ覚えておきましょう。それは…

 株式会社は、いつ成立するのか?

 …という問題です。株式会社が人間の赤ん坊のように「おぎゃー」と誕生する瞬間はどこなのか?という点は重要な問題です。つまり、それよりも前の段階では人間に例えれば【胎児】なのです。ということは、まだこの世に誕生していないのです。この世に誕生していないと言うことは、その株式会社の名をもって法律行為をすることは出来ないのです。

 考えてみれば、それは非常に困った問題を孕んでいます。
 一番判りやすい問題は、例えば「事務所の確保」でしょう。
 会社の本社をどこかに置く必要があります。普通は、オフィス用の賃貸物件を借りてそこに本社事務所を構えるはずです。その時、

貸し主:Aさん
借主:株式会社X

 として賃貸借契約を結ぶはずですね?
 会社の設立中というのは、いわば【胎児】の状態です。胎児の名前で賃貸借契約を結ぶことはできません。でも、会社の設立には事務所は必要です。
 …ということは

その株式会社はどの時点で成立しますか?

 という事は大きな問題になります。例えばオフィスの貸し主さんにしてみれば、いつ成立するんですか?という点は重大な関心事でしょう。さらに言えば

その株式会社は確実に成立するんですよね?

 ということも、気になるポイントでしょう。

 答えを書いておくと、

 ☆ 設立登記が完了した時点で株式会社は成立する

 ということになります。会社法の条文を確認しておきましょう。

(株式会社の成立)
第四十九条  株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する

 法務局に備え付けてある商業登記簿に登記…つまり記載が完了した時点で、株式会社は「おぎゃー」と産まれたことになります。つまり、先に説明した設立手順でいけば、『手順6が【完了】した時点』で会社は成立したことになります。
 (実際の問題としては、法務局の窓口に登記の申請書を提出し受け付けてもらえた時点で成立したものと考えられています。というのも、登記簿には申請書を提出した日が記載されるからです。)

 つまり、手順1~5の間、もっと言えば手順6の申請をして完了する直前までの瞬間は会社はまだ【胎児】の状態で、この世には存在しないことになります。これはとても重大な問題になります。


2:会社の設立方法には2通りある
 株式会社の設立方法には、大きく分けて2通りが存在します。

その1:発起設立
その2:募集設立

 この2つです。
 何が違うのか?というと、

 発起人が全ての出資を引き受けるのかどうか?

 という点で違いが現れます。
 例えば、資本金1000万円の株式会社を設立するとします。この時に「発起人」が1000万円の全額を出資するのであれば、『発起設立』という形になります。
 ちなみに、発起人は複数人でも構いません。一人でも構いませんが。

 一方で、発起人は1000万円のうちの一部分だけを出資して、残りは一般の投資家を募って資本金1000万円を揃えたいというケースもあります。このように一般の投資家に資本金の出資をしてもらうように募集をするケーのことを『募集設立』といいます。

 発起設立なのか、募集設立なのかによって会社の設立手続きに若干の変更が生じます。具体的には先に挙げた手順1~6のうち、手順3~5についてその内容が変化します。手続きの流れ自体は変わりません。
 …ということは、違いがあるということは試験の出題ポイントとして狙われるということになります。(笑)気をつけましょうね!!!

 募集設立の場合は、発起人以外の一般の投資家からお金を出資してもらうことになります。このため、発起人には『確実に会社を成立させる責任』が生じます。もし、会社の設立に失敗したら、発起人は連帯してその損害を賠償しなければなりません。発起設立の場合でも同様に同じ責任は生じますが。

(株式会社不成立の場合の責任)
第五十六条  株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。


3:会社設立中の意思決定
 さて、株式会社においては、株主は所有している株式の数に応じて議決権を持っており、その議決権の過半数とか2/3以上とかいう要件を満たすことで株式会社としての意思を決定できるという決まりになっていました。
 …では、【まだ成立していない】株式会社の意思決定はどうするのでしょうか?【まだ成立していない】株式会社には、当然『株式』なんてものは存在しません。ということは株式の数に応じて議決権を行使…なんていうことも不可能です。

(業務の執行の方法)
民法 第六百七十条  組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する

 「ある時点」までの間は、発起人が複数いる場合、その発起人らは「組合」類似の関係に立つと解釈されます。ということは、「発起人の過半数」の賛成で物事を決することになります。
 ただし、会社法に規定のある内容については『発起人全員の同意』が必要とされる場面もあります

 ところが、「ある時点」からは上記のような「発起人の過半数」で物事を決するのではなく、「議決権の過半数」で決するようになります。その「ある時点」とは…

手順3:会社の資本となるお金を出資する

 ↑コレが完了したのことです
 まだ株式会社は存在しません。だから株式も存在しませんから議決権も存在しない「はず」です。しかし、「出資」の履行が完了すると、「株主となる権利」を手にすることになります。そしてその「株主となる権利」には当然、「株式」がくっついているはずです。
 …ということは、出資が完了した後なら、まだ株式は存在しないけど、誰が何株持った株主になるのかはすでに確定しているはずです。だから、会社法においては「発起人の議決権」として、会社が成立した後に手にする株式の数に応じて議決権を認めることにしたのですね。
 株式会社にあっては、発起人といえども「出資した金額」が多い人ほど強い影響力を行使できるのです。

 た・だ・し!!
 出資の履行が完了した「後」であっても、会社法の規定にある内容については、やはり『発起人全員の同意』を必要とする場面もありますから注意が必要です

 …ということは、株式会社の設立においては、

発起人の過半数で決すること
発起人全員の同意が必要なこと
発起人の議決権の過半数で決すること

 という3つの手続きが存在することになります。ある物は時系列で変化し、ある物は会社法の規定で求められることになります。…という訳で、試験で狙い撃ちしやすい論点になっていると言うことが判りますね!?(笑)


4:設立中の株式会社が出来ること・出来ないこと
 設立中の株式会社は、この世にまだ存在しません。人間で言えば【胎児】です。…ということは、

 法律行為の当事者にはなれない

 というポイントが重要だとすでに記述しました。このため、「会社の設立」に必要な行為は発起人の責任で行われます。また、会社の名前で営業行為をすることも当然出来ません
 例えば、スーパーマーケットを経営する株式会社を設立するとしましょう。株式会社を設立の日にスーパーマーケットをオープンしたい…と考える人も少なくないでしょうが、基本的にはこれは不可能です。(やってやれないことはないけど…)

 どういうことかー?

 設立中の株式会社は「法律行為の当事者にはなれない」のです。ということは、売買契約の当事者になれないのだから…

 そもそも、【品物の仕入れが出来ない

 じゃないですか?なので、基本的には会社を一旦成立させてから、その成立した会社の名前で仕入れをすることになります。
 なお、会社はまだ設立していないのに、その設立中の会社の名をもって営業行為をしてしまった場合はどうなるのでしょうか?

第九百七十九条  会社の成立前に当該会社の名義を使用して事業をした者は、会社の設立の登録免許税の額に相当する過料に処する。
2  (略)

 「登録免許税の額に相当する過料」に処されてしまいます。つまり、資本金1000万円の会社の場合は設立しようとする株式会社の資本金の『1000分の7』(0.7%)ですが、この金額が15万円に満たない場合は「15万円」になります。つまり、最低でも15万円の過料ということになります。
 さらに、この問題については重要な判例が存在しています。

==========
A株式会社の設立を計画発起し、X年九月一二日に至りその設立登記を了したものであるが、上告人は、X年三月、未だその設立手続未了で設立の登記をしていない会社の代表取締役として、被上告人との間に本件契約を締結したというのである。而して、原審判示の本件契約は、会社の設立に関する行為といえないから、その効果は、設立後の会社に当然帰属すべきいわれはなく、結局、右契約は上告人が無権代理人としてなした行為に類似するものというべきである。尤も、民法一一七条は、元来は実在する他人の代理人として契約した場合の規定であつて、本件の如く未だ存在しない会社の代表者として契約した上告人は、本来の無権代理人には当らないけれども、同条はもつぱら、代理人であると信じてこれと契約した相手方を保護する趣旨に出たものであるから、これと類似の関係にある本件契約についても、同条の類推適用により、前記会社の代表者として契約した上告人がその責に任ずべきものと解するを相当とする
==========

 ちょっと読みにくいですが、整理すると、

① A株式会社は、ある年の9月12日に設立登記が完了した。(「おぎゃー」と産まれた)
② でも、ある発起人は同じ年の3月(まだ設立登記をしていない)に、「A株式会社の代表取締役です」と名乗って契約を結んだ
③ 契約の相手方は、「代表取締役です」と名乗った発起人について過失無くこれを信じた
④ その発起人のしたことは、【無権代理行為】に類似した行為だ。(会社の設立とは直接関係のない事をした!)
⑤ だからその契約の法律効果は会社に帰属するのではなく、発起人が【無権代理人として】責任を取れ。

 …と、裁判所は判断しました。

※なお、上記の判例は会社法成立前の判例ですが、現在もなお有効な判例であると考えられています。

 とはいえ、会社の設立に関係のある事は株式会社成立前でも当然にすることは出来ます。例えば、会社の設立登記を司法書士さんに依頼する場合等です。登記手続きは発起人が直接しても良いのですが、なかなか難しい手続きでもあることから、司法書士さんにお願いすることも多いでしょう。このような手続きは、会社法で「登記しろ」と書かれていることもあって、「会社の設立に必要な行為である」と認められることになっています。


5:(おまけ)持ち分会社の設立
 株式会社の設立に関するノートではありますが、ここで「比較用」として「持ち分会社」の設立手順についても軽く触れておきます。

 「持ち分会社」というのは、

・合名会社
・合資会社
・合同会社

 の3つのことです。有限会社はもう新規に設立することは出来ません。

 この中で、最も簡単に設立できるのは「合名会社」です。冒頭部分で触れた手順1~6のうち、必要な手順はなんと…

手順1:発起人が定款(原始定款)を作成する
手順6:必要な書類を添えて会社の設立を登記する

 たったこれだけ。公証人役場に出向いて行って定款の認証とかしてもらう必要も無ければ、出資の履行もへったくれもありません。
 合資会社も似たような物ですが、合同会社の場合はもうちょっと株式会社的な設立手順が必要となります。

 なぜ、持ち分会社の場合はこんなにも簡単なのか?というと、それは

 会社に無限責任社員がいる

 からです。(だから合同会社の場合はもうちょっと面倒くさくなります)
 もし、会社の設立や経営に問題があって責任を取って貰う必要が生じた場合、「無限責任社員」はどこまでも責任を取らされることになるのに対し、合同会社や株式会社には無限責任社員なるものが居ませんから、ある程度手続きを法律で固めておき、責任を明確にしておく必要があったのですね。

 ちなみに、持ち分会社の設立について出題される可能性は限りなく低いようです。まあ、どうせ出題するなら、組織変更とかにした方が楽しそうですものねえ…




 次回のノート以降ではいよいよ株式会社の設立について、もっと細かいところを見ていきたいと思います。

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