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農産物に対する放射性物質の影響(1)

ライターさん(最終更新日時:2012/1/30)投稿日:

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ringo.jpg■はじめに
 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故により、大量の放射性物質が放出され、広い範囲で土壌が汚染されました。事故直後から葉物野菜などで暫定規制値を超えるものが続出し、食への安全・安心は大きく揺らぎました。
 一方、農産物に対する放射性物質の影響についてはある程度まで分かってきていますので、その基本的な部分について記載してみます。

注意

  • 食への安全・安心に関する認識には個人差が大きく、決して本稿により一方的に「安全」を押しつけるものではありません。


■農畜産物で問題となる放射性物質
 事故直後に問題となった放射性ヨウ素(ヨウ素131)は、半減期が8日と短いため、現在は既に検出できない量にまで減少しており、(新たな事故が起きない限りは)問題になることはありません。
 放射性セシウム(半減期が2年のセシウム134と、30年のセシウム137)が農産物では問題となりますので、本稿では放射性セシウムの影響について述べます。
 放射性ストロンチウム(半減期が50日のストロンチウム89と、29年のストロンチウム90)は、文部科学省の調査では放射性セシウムに比べて放出量が極めて微量(1/1000程度)とされており、(検査の困難さもありますが)これまであまり問題視されてはいません。

■野菜・穀類への放射性セシウムの影響

ポイント

  1. 農作物は大気中から降下して直接付着した放射性セシウムは容易に吸収する。
  2. 農作物は土に落ちた放射性セシウムを根からはほとんど吸収しない(できない)。
  3. 根からの吸収率は品目や土壌によって大きな差がある。
  4. 農作物は土に落ちなかった放射性セシウムであれば、高濃度に吸収する可能性がある。


 農産物は葉や茎などに付着した放射性セシウムは容易に吸収しますが、いったん土に落ちた放射性セシウムはほとんど吸収しません。大半の放射性セシウムは土壌中の粘土鉱物に強く吸着されて溶け出さない形態(懸濁態といいます)になるからです。

 原発事故直後にはホウレンソウやブロッコリーなど暫定規制値を超える野菜が続出したのに対し、6月以降に出荷されたもの、つまり震災後に作付けされた野菜ではほとんどが検出限界以下になったのはこのためです。

 とはいえ、根から全く吸収しないわけでなく、水に溶けた状態(溶存態といいます)の放射性セシウムであれば根からでも容易に吸収します。放射性セシウムは時間とともに土に吸着されますが、土中でも一部は溶存態で存在します。
 土壌の放射性物質が農作物にどれくらいの割合で吸収されるかを示す指標を「移行係数」といい、移行係数が1なら土壌と同じ濃度、0.1なら10分の1になります。移行係数は土質や土壌の化学的性質などによっても異なりますが、これまでの調査で野菜類ではおおむね0.005未満であることが分かってきました(元データはこちらです)。data2.gif

 また、暫定規制値を超えたコメが問題になりましたが、汚染された木の葉が水に溶けて水田に流れ込み、土に吸着される前にイネが吸収してしまったのが一因と考えられています。

■果樹類への放射性物質の影響
 放射性セシウムは土に吸着されて地表付近にとどまっているのに対し、果樹の根は地中深く張っていますので、根からの吸収はほとんどないと考えられています。しかし、果物は放射性物質が枝や樹皮に直接付着したため、野菜に比べて高い濃度を示す傾向があります(簡単に植え換えるわけにいかないからです)。
 さらに、以下のようなことが分かってきました。

ポイント

  1. 冬に葉を落とさない常緑性の果樹は、落葉する果樹より果実の放射性セシウム濃度が高い傾向がある。
  2. 樹皮がザラザラした果樹は放射性セシウムが流れにくく、果実の濃度が高い傾向がある。


 原発事故の時、落葉果樹は葉を落としていました。常緑果樹(かんきつ類やビワなど)が落葉果樹より高い傾向があるのは、葉が構造的に養分吸収をしやすいためです。

 また、樹皮がツルツルしている果樹(リンゴやモモなど)は放射性セシウムが雨などで流れやすく、逆にザラザラしているもの(クリ、カキ、ギンナンなど)は付着しやすいと考えられています。
 樹皮に付着した放射性セシウムがどのような動態を示すのかについては、まだよく分からない部分が多いのですが、大半は表皮付近のくぼみなどに留まっていて、幹の内部に浸透していくには数年かかるとされています。そして、樹皮の剥ぎ取りなどで表面の線量が大きく減少することが明らかになり、果樹農家での取り組みが行われています。

■全国検査データから見る品目別の放射性セシウム濃度
 財団法人食品流通構造改善促進機構(食流機構)がとりまとめている「食品の放射能検査データ」から、どの品目がどの程度の放射性セシウム濃度を示しているのかを解析してみました。

注意

  1. 対象範囲は全国とし、検査点数が100点を超えている品目とした。
  2. 野菜類は6月1日以降の出荷分(他は震災以降)を対象とした。
  3. 放射性セシウム(134+137)濃度が50ベクレル/kg以下のものは検出限界以下(ND)のものと合算した。
  4. 私的に手計算で行ったものですので間違いはご容赦ください。

 野菜類は5月出荷分まではフォールアウト(放射性降下物)による葉面吸収の影響が大きいと考え、6月以降の出荷分のみをカウントしました。
 また、検出限界値は都道府県によって大きく異なる(多くは20~50ベクレル/kg)ため、検出値については50ベクレル/kgで線を引きました。例えば30ベクレル/kgが検出されていても、他県の検出限界以下と示されたものより低濃度の可能性があるからです。これは、モニタリング検査の性質上やむを得ないものと御理解ください。

data1.gifdata3.gif

 傾向として野菜類は全般に極めて低く、果樹類は品目によってややばらつきがあることがお分かりいただけると思います。

ヒント

  1. コムギの濃度が高いのは、秋に種をまいているため、生育中の株が放射性物質をかぶったため
  2. ウメの濃度が高いのは、原発事故が開花時期だったため、実の元になるめしべが直接汚染されたため


 また、水分が多い農産物は相対的に放射性セシウム濃度が低くなります。干し柿にすると濃度が高くなるとか、生葉の濃度は低いのに茶葉は高くなるのは、放射性セシウムの量は変わっていないのに水分が減ることで濃縮されるためです。クリや穀類などが他の野菜や果樹に比べて高い傾向があるのは、水分が少ないことも一因と考えられます。


■ 最後に
 農産物の放射性セシウム吸収は品目ごとに大きな差があります。
 野菜・穀類では品目ごとの移行係数の解明により、土壌中の放射性セシウム濃度から、そこで生産される農産物のおよその濃度が試算できることが期待されます(外部からの流入がない条件ですが)。
 果樹では主に樹体内に蓄積された放射性セシウムが問題となりますので、その低減技術の開発が進められています。
 そして、分析機器の増設とデータの蓄積により、たえずその検証がなされる体制の構築が急がれています。

  なお、タケノコや野生キノコ類などの林産物では、かなり高めの放射性セシウム濃度が検出されているものがありますが、これらについての解説は次回とします。

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