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多項式の素因数集合 (1/3)

ライターさん(最終更新日時:2016/12/4)投稿日:

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多項式の素因数集合 (1/3) [ (2/3)(3/3) に続く ]

本ノートはtsujimotterさん主催 日曜数学 Advent Calender への参加である。
ノート投稿日の表示には下書きを投稿してしまった日が反映されてしまっているが、
12/4の参加である。昨日はkiguroさんによるマラン・メルセンヌについてであり、
明日はtsunutさんによる単位の話が予定されている。

==

 目次

[1] 結果の提示
[2] 意気込み (ここまでが1/3)
[3] 円分多項式の場合
[4] それ以外の場合 前編
[5] それ以外の場合 後編
[6] 割り切れる回数 (ここまでが2/3)
[7] 素イデアル分解との関係
[8] Qの類体論
[9] Q(i)の類体論 (ここまでが3/3)

合同≡の否定を≡/で表記する。

==

 [1] 結果の提示

xが整数のとき、x^2+1の約数としてどのような整数があり得るか。
可能な素因数は、{2}∪{4Z+1型素数}である。(平方剰余の第1補充法則の帰結)
割り切れる回数については、2では高々1回しか割り切ることができないが、
4Z+1型素数は好きな回数だけ割り切れるようにxを設定できる。

もっと他の多項式f(x)ではどうなるかというのがテーマである。
そこには比較的平易な言葉で記述できる美しい結果が存在する。

「円分多項式」がその主役を果たす。
(k次の)円分多項式とは、1の原始k乗根αの最小多項式である。
αの最小多項式とは、F(α)=0となる多項式F(x)のうち、次数が最低のものである。
それは係数の範囲に依存するが(断りがなければ有理数係数とする)、
係数の範囲を指定すれば一意的に定まるものである。
k次の円分多項式を習慣的にΦ_k(x)あるいはΦ(x)という記号で呼ぶことにする。
Φ_k(x)は、x^k-1を因数分解したときに現れる因子の1つである。
低次の円分多項式の例はwikipediaにも紹介されている。

上記wikipediaの「円分多項式の値」という項目にも書かれてしまったのだが
k次の円分多項式の素因数集合は、{有限集合}∪{kZ+1型素数}と分布する。
これが基本的な結果である。冒頭で紹介したのはk=4の場合である。

# k=5の場合、x^4+x^3+x^2+x+1 の素因数集合は{5}∪{5Z+1型素数}であり、
Wolfram Alphaで次のように入力してこれを観察することができる:
Table[factor[x^4+x^3+x^2+x+1],{x,1,10}]
出力:{5, 31, 11^2, 11×31, 11×71, 5×311, 2801, 31×151, 11^2×61, 41×271}
5では1回だけ割り切れて、他は任意回割り切れる。

今回主に紹介したい結果は、そのもう一歩先である。

1の原始k乗根をαとして、αの冪α^dをいくつか足し合わせたものをβとする。
指数dの組み合わせをうまく設定すると、βはαより最小多項式が低次になる。
βの最小多項式をf(x)とする。f(x)の素因数が、kZ+d型素数に分布するのである。
その驚くべき結果は、具体例をみたほうが分かりやすいだろう:

・αを1の原始7乗根とする。
β=α+α^6の最小多項式はx^3+x^2-2x-1である。
その素因数は{7}∪{7Z+1,6型素数} と分布する。
β=α+α^2+α^4の最小多項式はx^2+x+2である。
その素因数は{7}∪{7Z+1,2,4型素数} と分布する。

・αを1の原始13乗根とする。
β=α+α^3+α^9 の最小多項式 x^4+x^3+2x^2-4x+3 の素因数は{13}∪{13Z+1,3,9型素数}
β=α+α^5+α^8+α^12 では x^3+x^2-4x+1 の素因数は{13}∪{13Z+1,5,8,12型素数}

・αを1の原始15乗根とする
β=α+α^4 の最小多項式 x^4-x^3+2x^2+x+1 の素因数は{2}∪{15Z+1,4型素数}
β=α+α^11 の最小多項式 x^4-x^3+x^2-x+1 の素因数は{5}∪{15Z+1,11型素数}
β=α+α^14 の最小多項式 x^4-x^3-4x^2+4x+1 の素因数は{5}∪{15Z+1,14型素数}
β=α+α^2+α^4+α^8 の最小多項式 x^2-x+4 の素因数は{3,5}∪{15Z+1,2,4,8型素数}

指数の組み合わせ方を説明する。それは、βの共役が重複するようにできている。
k=13の例で説明する。αの共役はα,α^2,α^3,...α^12であり、
β=g(α)=α+α^3+α^9の共役としてg(α),g(α^2),g(α^3),...g(α^12)を考えることができる。
そこで、g(α^3)=α^3+α^9+α^27はg(α)に等しくなることが分かる。(∵α^13=1)
同様にg(α^9)もg(α)に等しい。この仕組みでg(α)の共役は3つずつ重複する:
g(α)=g(α^3)=g(α^9),
g(α^2)=g(α^5)=g(α^6), 
g(α^4)=g(α^10)=g(α^12),
g(α^7)=g(α^8)=g(α^12)
その結果βの最小多項式は4次式となる。

・一般化した記述を提示しておく。
(この命題は、[8]においてより本格的な言葉を使って再度記述される。)

[命題1]
αを1の原始k乗根とする。αの最小多項式はオイラーのφ関数によってφ(k)次である。
m個の元からなる集合Aをうまくとって、
β=Σα^d [d∈A] の共役がちょうどm個ずつ重複するようにする。
βの最小多項式f(x)はφ(k)/m次になるはずである。
f(x)の素因数の集合は有限個の例外を除いてkZ+d型素数(d∈A)全体である。
このようにして得られる多項式のk≦20までの一覧を作ったことがある。

---
・1つ応用を紹介する。

x^2-3の素因数集合を求めることは、x^2≡3 (mod p) を満たすxが存在するようなp、
すなわちpを法として3が平方剰余であるようなpを求めることに相当する。
平方剰余の相互法則を知っていればその条件はp≡±1 (mod 12)と分かる。

ところが、これはk=12, A={1,-1}としたときの上記の結果から導けるのである。
αを1の原始12乗根とするとβ=α+α^(-1)の最小多項式はまさにx^2-3なのである。
[命題1]からその素因数集合は(3という例外を除いて)12Z±1型素数と言える。
k≦20までの一覧を眺めれば他にもいくつか2次式を見つけることができる。

・kが奇素数の場合の一般化を説明することができる。
αを1の原始k乗根とする。A={kを法とする平方剰余の集合}とする。
βとf(x)は[命題1]にある記述によって定める。
例えばk=7ではA={1,2,4}, β=α+α^2+α^4で先に既に紹介した例でもある。
(このβは「ガウス和」と関係が深く、2β+1がガウス和に等しい関係である。)

βとf(x)を具体的に求めることができる。[すぐ下で補足]
kが4Z+1型素数のとき、β=(-1±√k)/2, f(x)=x^2+x+(1-k)/4
kが4Z-1型素数のとき、β=(-1±√-k)/2, f(x)=x^2+x+(1+k)/4 となる。

[命題1]を適用すれば、
f(x)≡0 (mod p)を満たすxが存在 ⇔ (pをkで割った余り)∈A
変形すると
(2x+1)^2≡±k (mod p)を満たすxが存在 ⇔ y^2≡p (mod k)を満たすyが存在
(ただし複号はkを4で割った余りに依る)
と言い換えられて、確かに平方剰余の相互法則と一致する結果を得る。

[補足]
βの共役をγとおく。β^2の展開を考える。
具体的なkにおける展開を観察して参考にする。

# k=13の場合
β=α+α^3+α^4+α^9+α^10+α^12
γ=α^2+α^5+α^6+α^7+α^8+α^11
β^2 = α(α+α^3+α^4+α^9+α^10+α^12) + α^3( ) + ...
36個の項は、6個のα^13=1と、x個のβと、(5-x)個のγを合わせたものと置ける。(実はx=2)

このように、k=4N+1の時は(2N)^2個の項があって、
α^k=1の項が2N個と、x個のβと、(2N-1-x)個のγを合わせたものと置ける。
すなわちβ^2=2N+xβ+(2N-1-x)γと置ける。
共役性からγ^2=2N+xγ+(2N-1-x)β
合わせてβ^2+γ^2=4N+(2N-1)(β+γ)
ここでβ+γはx^k=1のx=1以外の解の和だから-1である。
2βγ=(β+γ)^2-(β^2+γ^2)=(-1)^2-{4N+(2N-1)(-1)}=-2N
よってβ,γを解とする方程式x^2+x-N=0を得る。

# k=7の場合
β=α+α^2+α^4, γ=α^3+α^5+α^6であり
β^2 = (α+α^2+α^4)(α+α^2+α^4)
 = α(α+α^2+α^4)+α^2(α+α^2+α^4)+α^4(α+α^2+α^4)
この9個の項はx個のβと、(3-x)個のγを合わせたものと置ける。(実はx=1)

このように、k=4N-1の時は(2N-1)^2個の項があって、
α^k=1の項は発生せず、x個のβと、(2N-1-x)個のγを合わせたものと置ける。
すなわちβ^2=xβ+(2N-1-x)γと置ける。
あとは先と同様の方法で x^2+x+N=0 を得る。
==

 [2] 意気込み

本ノートの大きな流れを示す。
[3]では、円分多項式の場合についての説明をしつつ、「2次の無理数」を導入する。
[4]では、素因数集合に関して、k=7の場合とk=15の場合を考察する。
「2次の無理数」がどのように活躍するかを説明する。
そしてk=15の場合にはある障害が発生することを提示する。
[5]では、その障害を本質的に解決する「フロベニウス写像」を導入する。
これがとても巧妙な仕組みである。
[6]では、素因数で割り切れる回数について触れる。
「好きな回数だけ割り切れるようにxを設定できる」ことを説明する。
それから、割り切れる回数が有限に限られる例外的な素因数が
f(x)の判別式の素因数として絞られることを紹介する。

それ以降では、本格的な代数的整数論の言葉を使った状況の描写を紹介する。
どうしても、読者がある程度の正式な言葉を知っていることを求めてしまう。

[7]では素イデアルの分解との関係と分解群という概念を紹介する。
[8]では類体論という視点と周辺の概念を少し紹介する。
本結果は実はまさにQの類体論に触れるものであった。
[9]ではQ(i)の類体論を紹介する。これは私も今回初めて出会った現象である。
さらに、期せずして4次剰余の相互法則と関係づけることができたことを紹介する。

---
* 概要

本話題は私が2012年に出会って下記に至らない説明を試みた内容である。
私が環とかイデアルすらよく知らなかった頃に出会った結果である。
従って今回も特に[6]まではできるだけ平易な言葉で説明したいと思っている。

有限体についてもよく知らず、最初は「2次の無理数」という造語を使った。
この「2次の無理数」が仕組みを解き明かすのに重要な役割を果たすのである。
詳細は後で述べるのだが、その仕組みを大まかに紹介すると、
Φ(x)=x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1がpで割り切れる「2次の無理数」xが存在することが、
f(y)=y^3+y^2-2y-1がpで割り切れる整数yが存在することと結びつくのである。
Φ(x)の解αとf(y)の解βの間にはβ=α+α^6という関係があるのだが、
それに対応するように、y=x+x^6という関係で結びつくのである。

慎重な読者は2次の無理数に割り切れるという言葉を使うことをためらうかもしれない。
正確に記述する方法がいくつかある。
(1) 集合{a+b√2|a,b∈Z}等において改めて整除を定義する。
(2) 有限体へ還元する
(3) 局所体へ還元する

このノートを書き始めた時は、有限体へ還元する方法で記述しようと思った。
この方法はかつて私が円分多項式の既約性を質問した時に、
hiyori_amatouさんが補足してくれたノートで説明されている。
今の私にはその説明はよく分かるのだが、当時の私にはよく分からなった。
それを思い出して、また、できるだけ平易な言葉で、という精神からも、
やっぱり考え直して、敢えて「2次の無理数」という言葉で説明することにした。
すなわちどちらかといえば(1)の視点である。

(2)の視点では2次の無理数を使った議論は有限体F_p^2への還元という視点である。
有限体を知っている読者はぜひその視点を補間しつつ読むと良いと思う。
局所体への還元も有効なのであるが、局所体について説明するのは荷が重すぎた。
しかし[6]の背景にはどうしても隠せず、軽く紹介だけした。

一般的な場合の証明をしっかり与えることはしなかった。
それを私がやるには平易な言葉では困難であり、煩雑になってしまうと思われた。
今回は主にk=7とk=15で2次の無理数によって説明できるような例を選んでいる。
一般的な場合には当然3次以上の有限体も必要であろう。
しかし適切に修正を加えれば一般の場合にも自然に拡張できるものと思っている。

---
* 計算機

多くの点で計算機なしでは私はこの結果に出会えなかっただろう。
通常の既約剰余類や、2次の無理数の乗法群を観察するスクリプトを作成した。
[5]で決定的な役割をするフロベニウス写像に出会ったのもここからである。

また、多項式の操作には無料ソフトMaximaをインストールしていて、おすすめである。
本ノートでも実際に存在するはずのものを計算機で実際に求めることを多く紹介する。
特に有用な操作を2つ紹介する。

・しばしばf(x)=0の解をαとしたとき、β=g(α)の最小多項式を考察する。
実際に得るには終結式が有用で、Wolfram Alphaを使えば
factor[resultant[f(a),y-g(a),a]] というふうに入力すれば得られる。

・F(x)をQ(α)係数で因数分解するアルゴリズムも役に立つので紹介する:

---
* 本格的な数学

> それなりに手ごろな方法は2つぐらいあって,
> 1つは主に有限体の基本的な性質だけで済むわかりやすくて初等的な方法で,
> もう1つは代数的整数論の文脈で捉えた場合の分岐の言葉を用いた方法です.
そして彼または彼女はそこで代数的整数論の文脈での回答を示してくれている。
そのような文脈を[7]で紹介したい。(当時の私には全く理解できなかった・・。)

この話題は私が本格的な数学を勉強してみようと思った大きな動機でもあった。
本格的な言葉を使えば、いろんな所がよりスムーズに記述されるし、
より高い視点からみることができる。
私の数学の勉強には、常に本話題が大きな中心の1つにあったと思う。

しかしながら本格的な数学の勉強は、険しいものであった。
本格的な数学の本は、読んでいて初めは全く意味が分からないものである。
最近やっと類体が何なのかが分かってきたぐらいである。
まだまだ理解できていない課題は多くあり、機会があれば理解を深めていきたい。

ところで、ある時からネット検索でtsujimotterさんの記事にしばしば出会うようになった。
今回のノートでも関連するtsujimotterさんの記事があり、該当箇所において紹介した。

自分の知識を人に伝わるように書くのは難しいと感じている。
自分が以前に書いた知恵ノートを自分で読んでいても追えなかったりする。
なので本ノートも読んでて追いづらい所があるかもしれない。
まあそうはいっても他にはなかなか見当たらない内容だと思っている。
少しでも多く伝わると嬉しく思う。

---
* 類体論

本話題は[8]で紹介するようにまさに「Qの類体論」に触れているものであった。
特に「岩波講座現代数学の基礎 19 数論2 類体論とは」が本話題に近い。
インターネットでの資料も多く(最近増えている傾向を感じる)、2つ紹介する。

今回ノートを書いていて、新しくQ(i)の類体論を捉えることに成功した。
それを[9]で紹介する。この辺りの計算には計算機が不可欠であろう・・

[1]の最後で紹介した平方剰余の相互法則の導出は2012年に既に気づいたが、
高次剰余の相互法則との関係はずっと分からずにいた。
最近にインターネットを検索すると、一般相互法則から3次剰余の相互法則を説明する、
すごく抽象的な説明に出会い、なるほど分からん、難しいものなのだろう、と諦めていた。
ところが、今回期せずして4次剰余の相互法則を垣間見ることができた。
しかもそれを良い機会に紹介できることを嬉しく思っている。

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