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素人と、専門家・エキスパートを分けるモノ

ライターさん(最終更新日時:2015/5/20)投稿日:

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はじめに

 コンピュータ関連に限らず、専門書というものは、分かる人(=専門家)にだけ分かるような書き方になっている事が多い。 しかも、すでに分かっている人は、分からない人に対しての説明がなかなか出来ない。 このノートでは、この溝の正体について、私が思うところを書いてみる。


専門家の決め台詞

 どんな分野でも専門家とかプロフェッショナルとかエキスパートとか呼ばれる人達がいて、そういう人達は、心のどこかで、素人をバカにしているフシがある。 コンピュータの分野だってそうだ。 大概のプログラマは、プログラミングが出来ない素人や、自分よりレベルの低い同業者を内心でバカにしている。 そして、決め台詞は大抵これである

「なんでこんな(簡単な、当たり前の)事が分からないのか?」

 ……ところで、「目玉焼き」という言葉や、その作り方は、多くの人が知っている。 もし、これを「知らない」という人がいたとしたら、我々はその人の事をバカにするだろう。 大多数の人が知っている事を「知らない」と言えば、バカにされてしまうのだ。 見方を変えると、我々の大多数は、目玉焼きについてのエキスパートである。 目玉焼きがどのようなものであるか、どう作るのか、材料は何か、どんな味がするのか、これらを全て知っている。

 では、なぜ我々は目玉焼きを知らない人をバカにするのだろうか。 バカにする理由はなんだろう。 「なんでこんな事を知らないのか・分からないのか?」、こう思うからではないだろうか。

 そのセリフは、まさしく「専門家のセリフ」である。 では、目玉焼きの作り方というのは、難しい事だろうか?

 ほとんどの人にとっては、難しい事ではないだろう。 だが、料理に全く縁がなく、包丁で野菜を切ったことすらない人だっている。 つまり、こんな簡単な事でさえ、「専門家と素人の差」が出る事は有り得るのだ。



専門用語を作る理由

 実のところ、専門家が知っている知識というのは、単純で簡単なものが多い。 ただ、その積み重ねが大変に多いため、素人には理解しがたいレベルに達しているのだ。 目玉焼きの作り方は、それだけをとってみれば簡単で単純な事であるが、そういう単純な事でも何百、何千と学び、身につければ、調理の専門家になれる。
 とは言え、いくら単純で簡単な事であっても、それが何百何千もあれば、それを憶えたり、仕事仲間に伝えたりするのは難しい。 それを克服するため、専門家は専門用語を作る
 たとえば調理の専門家にとって、「含め煮」とか「揚げ浸し」という用語は、説明の必要がない。 しかし揚げ浸しを知らない人にこれを説明しようとすると、次に示すような、何行かの文章を書かねばならない。


小ナスの揚げ浸し(2人分)

  • ・材料
    (1) 小ナス 8~10本
    (2) 浸けだし (だし汁200~300ミリリットル 酒大さじ3 みりん大さじ1 砂糖小さじ1 しょうゆ大さじ2)
    (3) ショウガ汁 小さじ1
    (4) 揚げ油 適量
    ・調理手順
    (1) ナスはガクの周りだけ皮を切り取り、縦に細かく切り込みを入れてから、水にさらす。
    (2) 浸けだしをひと煮立ちさせて火からおろし、粗熱が取れたらショウガ汁を加える。
    (3) ナスの水気をしっかり拭き取り、170℃で時々ひっくり返しながら揚げる。
    (4) 菜箸ではさんで持ち上げた時に少ししんなりするまで揚げ、軽く油きりをして、浸けだしにひたす。
 しかし、調理の専門家は、いちいちこんな文章を言ったり書いたりはしない。 上記の内容を、「ナスの揚げ浸し」という短い専門用語で表現してしまう。 「揚げ浸し」という短い言葉の中には、上記で書いたような約10行にもわたる内容が凝縮されている。 専門用語とは、まさにこういう言葉なのである。

 「おい、このナス揚げ浸しにしといてくれ」と言えば、言われた方は黙って上記の手順をやる。 いちいち上記のような説明を受け渡す事はしない。 それが調理の専門家の世界である。

 専門書には、専門用語がたくさん使われている。 コンピュータの本をちょっと読んでみれば、インストール、ピクセル、バイト、コーデック、メモリ、ディスプレイ、マウスカーソル、……どこもかしこも専門用語の山だ。 素人がこれをいきなり読んで分かるはずがない。
 しかし、専門用語を使わずに同じ事を表現しようとすれば、とてつもなく大変な事になる。 「揚げ浸し」や「含め煮」が出てくる度に、いちいち10行の文章を言ったり書いたりしていたら、料理人は仕事にならない。 だから、専門家も専門書も、専門用語を使わざるを得ない。 かくして、専門用語を知らない素人は、専門書を何冊読んでも結局分からない、という事態に陥る。



専門家と素人を分けるもの

 揚げ浸しがどういうもので、どうすれば作れるのか、というは、上記の文を読めば、大抵の人には分かるはずだ。 つまり、「揚げ浸し」それ自体は、全く難しい事ではない。 しかし、揚げ浸しを知らない人にとって、「アゲビタシ」という言葉は全くの謎であろう。

 「揚げ浸し」1つを知っただけでは、調理の専門家になる事はできないが、こういう用語を何百も何千も知り、それを実践習得すれば、誰でも専門家になれる。 まさに、これこそが、素人と専門家の差であり、「分かる」と「分からない」の違いなのだ。

 専門用語をたくさん知っていればいるほど、専門書をスラスラ読めるようになる。 専門書がスラスラ読めれば、さらに多くの専門用語が身に付く。 つまり、専門用語をどれだけ多く理解しているか、という事が、素人と専門家を分けていくのである。

 しかし、ここで1つの疑問が出てくる。 専門用語が、単純な事をまとめた事を表現しているのならば、専門用語はどんどん下のレベルに分解して掘り下げて行けるはずだ。 たとえば「揚げ浸し」の説明の中にも、だし汁、ガク、粗熱、油きり、などの用語が出てくる。 もちろんこれらも、より細かい説明に分解していく事が出来る。
 すると、いつかは「最初の専門用語」、つまり用語のルーツというものに行き当たるはずだ。 専門家は、それをどうやって理解したのだろうか?

 筆者の答えは、「そういうものだと思いこむ・丸暗記する」、である。 コンピュータ・プログラミングにおける「最初の専門用語」は、「論理 logic」だ(もっとも、これは筆者の独断であるが)。 「論理」は、理解するというより、「そういうものだ」と丸暗記するしかないものだ、と筆者は考えている。

 ここを乗り越える事は、少し困難だ。 なんらかの仕組みを理解していく、という事は、時間さえかければさほど難しい事ではないのだが、それまで知らなかった事を、まるごと呑み込んで憶える、というのは、えてして苦痛である。

 たとえば、信仰を持たない人は、宗教を信仰している人の事がよく分からないのではないだろうか。 信仰する、とは、無条件に受け入れる事に近い。 キリスト教を信じていない人に、キリストの復活や最後の審判を信じなさいと言ったところで、素直に信じるとは思えない。

 「最初の専門用語」も似たようなもので、ここを乗り越えるのは大変なことだ。 だから、専門家は常に素人より少数である。

 でも、ここさえ乗り越えれば、あとはそれらを組み合わせて行くだけだ。 組み合わせた事に新しく名前を付け、専門用語を作る。 専門用語を組み合わせた事に、また名前を付ける。 これをひたすら繰り返す。 この繰り返しが、幾層にも重なり、広がって行くこと、専門分野の成長であり、またそれは人間社会進歩にもつながっているのだ。



おわりに

 どんな専門家も、最初は素人だった。 「素人」を脱した糸口は、初期の段階で無条件に「信仰」できたかどうかにあった。 これは、コストを省みず、怖れを知らない姿勢とも言える。 素質と言い換えても良いかもしれない。
 私が他人様にコンピュータやプログラミングについて本気で教える時は、まず論理演算をひたすらに、しつこく説明するのだが、それは「最初の無条件信仰」を悟っていただくためである。

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