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アルコール依存症で言うところの「スリップ」と「ドライドランク」について

ライターさん(最終更新日時:2015/9/3)投稿日:

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●はじめに


「スリップ」や「ドライドランク」という言葉は、よく使われています。

断酒しようとしている人が飲酒した場合、「滑ってしまう」と表現することも多く、その事から「スリップ」と言うと、お思いの方も多いのではないでしょうか?

また、ドライドランクも、「飲まない酔っぱらい」なのですが、この「酔っぱらい」という意味は何なのかとなると、どの辺りまで真の意味通りに使われているかは、心細いところでもあります。


以前より知恵ノートとして投稿する予定でしたがなかなか投稿する事ができませんでした。
今回(2012年5月)、Twitter からリクエストがありましたので、アルコール依存症を考える為に、また理解を深める上でのヒント、そしてアルコール依存症からの回復を理解するキーワードとして、紹介いたします。

もっとも、あくまでも私の理解という部分を超える事は出来ませんが。

まずは「スリップ」から。




●スリップの語源

○車がスリップする、という意味での「スリップ」ではありません。

アルコール依存症で言うところの「スリップ」とは
“滑ってしまう” 
“滑る”

という意味での「スリップ」ではありません。

AA(Alcoholics Anonymos)のメンバーが作成した資料によると

“Sobriety Loses Its Priority”
の頭文字
 「S」.「L」.「I」.「P」
からきています。

したがって、滑るというのは、俗にそう言われているだけなのです。

もっとも、「滑る」という意味でも伝わるところが面白いですね。



“Sobriety”とは?

“Sobriety”とは、辞書によると「酔っていない」「真面目」「節酒」などと言う意味もあります。
しかしAAで言うところの“Sobriety”とは、酒を飲まない生き方、酔っていない考え方ができている生き方です。


○語源から考えると

“Sobriety Loses Its Priority” → S.L.I.P

英語としての構文上、おかしい所もあり、英語に詳しい人の多くは(そのような人ほど)、首を傾げます。


直訳すると「節酒は、その優先順位を紛失」となるとなってしまいます。
この場合の“Sobriety”は、「節酒」と訳しています。

意訳すると
「酒を飲む事を優先した」
「酒を飲むと、優先順位が失われる」

となります。
極端な意訳では、「飲みたかったから飲んだ」 というものもあります。


★ひょっとすると

“Sobriety”(飲まずに生きる事)の部分

“ Loses Its Priority”(優先順位が失われる)の部分


この二つを別に考えるのが、S.L.I.P の元々の意味なのかも知れません。
そう考えると、もっと深い意味を含んでいるものと理解する事もできます。


*そうすると、「飲酒すると、素面で生きるという優先順位が失われる」なのかも知れません。

あくませも推測の域を超えませんが・・・。



★AAは、その「12の伝統」で
「アルコホーリクス・アノニマスは、外部の問題に意見を持たない。したがって、AAの名前は決して公の論争では引き合いに出されない。」
とあります。


そのため、あくまでも“Alcoholics Anonymos”などを読んで、グループとしてのAAの基本的な考え方(回復イメージ)、そこから“Sobriety Loses Its Priority”の意味を推測するしかありません。




●スリップ(S.L.I.P) の意味


○スリップの意味

<アルコール依存症にとってのスリップ>
アルコール依存症者が相互支援グループ(自助グループ)に来て、飲まない期間がある程度続いた後に再飲酒することを「スリップ」と言います。

したがって、飲酒を止めている(断酒している)期間が続かないうちにまた飲酒している場合には、スリップなどとは言えないのです。

飲んだり止めたりを繰り返している状態も、スリップとは言えません。

☆これは、進行中のアルコール依存症者に、たまたま「休肝日」が出来、それが終わって飲みだしただけなのです。



<アルコール依存症以外の依存症の場合>

アルコール依存症以外の依存症の場合でも、スリップという言葉は使います。

その場合にも、「スリップ」とは、止めていた“Addiction”を再び行ってしまうことを意味します。
他の依存症にとっての“Sobriety” でも、依存症を使わずに生きる事ですから、同じであると言えます。
もっとも、アルコール依存症以外の薬物依存症では、“クリーン”とは言ったり、細かい点では違いはありますが・・・。

「スリップ」とは、再発の事です。



○スリップの影響

<死に至るという意味>
アルコール依存症者が再飲酒をすると、多く場合、最悪の状態に戻ってしまうからです。
人によっては、その一杯が連続飲酒の出発点であったり、死に向かう一歩でもあります。
アルコール依存症者の中には、比較的普通に飲酒できているように見える時期が長い人もありますが、ほとんどは元通りの(最悪の)状態に戻って行きます。

したがって、軽々しく使う言葉ではありません。

☆断酒会でよく言われる「一滴しずく」とは、これをよく表しています。


さらに、アルコール依存症以外の依存症でも同様です。


<心の状態まで最悪だった時に戻る>

スリップ(再発)の影響は、単にコントロールを喪失した状態に陥るという面だけではありません。

ある断酒会の支部長さんが再飲酒された事がありました。
しっかり断酒をしていた(Sobrietyを保っていた)人ですから、文句なしに「スリップ」です。

飲みだしてから、ごまかす時期もないまま連続飲酒に陥ってしまい、再び専門病棟を訪れました。
その心の状態を見て唖然としました。
支部長として体験談を語り、支部をまとめていたその人が、ものの見事に、しかも短期間のうちに、進行中のアルコール依存症者の特徴である自己中心性、否認、他罰的態度、自己憐憫などを備えた、最悪の状態に戻っていました。
おまけに、酒をこっそり持ち込んで観察室の窓の外に吊るしていたりと、最悪なものでした。

もっとも その方は、断酒していた経験があっただけに、素面に戻ってからの回復は目を見張るものがあり、そのスリップを、身の丈相応の生き方断酒の仕方をつかむきっかけにされましたが・・・。


<いわゆる「イチのパッチ」について>

断酒の期間がそれほどないにも関わらず度々飲酒しては
「また一からやり直します」
という方をよく見かけます。

断酒歴の長い断酒会員が

「イチのパッチを脱げ」
と一喝しました。

飲んだら「一から始める」というような軽々しく言えるものではないのです。

マイナスからの再出発を目指すか、飲んで死んでいくかの選択に迫られます。
正に「命がかかっている」のです。


上に紹介した再飲酒した支部長さんの例のように、更なる回復へのきっかけに利用できた方もありますが、そのリスクはかなり大きいと言えます。
この方は、相互支援グループ(自助グループ)へ出席する事を身体で覚えておられたため、死に向かう道ではなく、更なる回復に向かったとも言えます。



●スリップ(再発)に先立つもの

回復が進んだアルコール依存症者(他の依存症者でも)は、一般の人が思うほど、そうそう容易に再飲酒しません。
一般の人は、たまたま飲まないでいるだけの回復していないアルコール依存症者と回復の進んだアルコール依存症者の違いは、あまりご存じないでしょう。しかし、その違いは大きいものです。

1995年 阪神淡路大震災の際、孤独死が盛んに報道されました。
しかし、AAや断酒会で回復を目指している人は、その為に飲酒を始める事は、あまりありませんでした。


あまりアルコール依存症を知らない人は、激しい飲酒欲求に襲われたり、何か苦しい事があるから飲酒するのでは?・・・  という見方をします。
しかし、実際には、何ら苦しい事がなくても、回復していない(回復を目指さない)アルコール依存症者は、簡単に飲酒を再開します。

ある程度飲まない期間があるアルコール依存症者の場合、最初の一杯を飲む時、燃えるような飲酒欲求ではない事がほとんどなのです。

飲酒欲求の激しさを訴える人の多くは、すでに最初の一杯を身体に入れた後である事が多いのです。


★再飲酒の危険性が高まる状況
ある程度の期間 飲まないでいるアルコール依存症者(離脱期が済み、神経学的にも影響が抜けた後)には、衝き動かされるような激しい飲酒欲求は、あまり見られません。

それ以外の再飲酒の危機となり易い状況には下記です。


・あまりにも良い事が、回復の進み方よりも早く訪れた場合
・酒に対して自分の強さを感じ始めた時(原点である「無力」を忘れた時)
・断酒を続ける自信が強くなった時
・自分の力で、道を開いていく自信が強まった時
・万能感(自我の肥大やコントロール欲求)、自己憐憫に陥っている時

・万能感と自己憐憫は、同じ心の状態の裏表!
・人の悪いところが、やたら目についてきた時。もっとも、それを「公憤」や正義感と合理化する場合も多いですが・・・ 多くは、仲間への」批判が強まったとき

まだまだあるかも知れませんが・・・

これらは、断酒を継続していた人がスリップをしてしまう上での落とし穴なのです。

かつて「酔っていた」時(進行中のアルコール依存症であった時期)の考え方と同じなのです。


回復を目指し、日々 最善を選択し、行動しているアルコール依存症者は、その状態から一気に飲んでいる状態には戻りません。

ほとんどは、上記 飲酒への危機的な状況を経て、スリップするのです。
その時には、すでに程度こそ様々ですが、「素面」ではなくなっていると言えます。

言い方を変えると、飲酒していないという意味では「断酒」しているのですが、厳密な意味では素面ではない、言い換えると“Sobriety”と言える状態ではないのです。

この辺りから、ドライドランクという概念とダブってきます。


以下、ドライドランクを説明いたします。




●ドライドランク

ドライドランクとは、文字通り「乾いた酔っぱらい」「飲まない酔っぱらい」です。
よく、落ち込んでいる時やイライラした時に「ドライドランクだ」などと言う人もありますが、そのような軽いものではありません。


○ドライドランクとは?

ドライドランクとは、飲酒をしていないものの、飲んでいた時と同じ心のあり方をしている場合を言います。

飲酒をしていない(スリップしていない)にも関わらず、飲んでいた時のような苛立ちや、気分の落ち込み、自己中心的で攻撃的な生き方などを始めてしまっている事です。
これは、実際の飲酒(スリップ)への瀬戸際に立たされている危険な状態なのです。


この「ドライドランク」とは、厳密には、神経学的な影響が残っている状態とは、区別されるべきものです。
離脱症状はおおよそ1週間で抜けます。特に長い場合でも2週間を超える事は、まずありません。

また、睡眠障害など神経学的な影響も、約1~2カ月でおおよそ抜けます。
このようなアルコールの神経学的な影響が完全に抜けた後の事であると言えます。

なお、離脱後症候群と言われる状態には、ドライドランクが隠れている可能性もあります。
離脱症候群や離脱後症候群に関しては、下記知恵ノートを参照願います。

「アルコール依存症の離脱症状(離脱症候群)について」
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n3411



○ドライドランクになると

「飲まない酔っぱらい」とは、どのようなものか、という事ですが、下記の状態に陥った時には、ドライドランクと言えます。

★これは、前述の「スリップ」に先立つものと重複します。


・酒に対する無力という基礎が薄れている。断酒に関する自信が増大する(自信過剰)
・仲間の体験談が 白々しく感じられて来る

・自我が肥大
・万能感

・コントロール欲求の強まり
・他罰的な心のあり方
・自己憐憫と恐れ
・飲んでいた時の郷愁が蘇ったり高まったりする
(ノンアルコールのビールなどを飲み始める など)

・無意識の「飲酒欲求」をマスキングしている抑うつ状態など


どうですか?・・・

「ドライドランク」とは、軽々しく言える事ではなく、実際は スリップに先立つ 「心の再発」 であると捉える事が大事なのです。


このように、安易に「ドライドランク」という言葉も使わない事が良いのです。



○ドライドランクに陥らない為に

これは、相互支援グループ(自助グループ)のメンバーが言うべき事でしょう・・・。

しかし私の経験から言える事は、回復の為の行動を継続する事であると言えます。
・断酒会で「体験談」を掘り起こし続ける
・AAで「ステップ」をする

・仲間に、手を差し伸べる(AAも断酒会も、これが出発点なのです)


ともに、「歩く」事(仲間に会いに行く事) 「足で稼ぐ」事です。


∴ドライドランクも、スリップという言葉も、軽々しく使う言葉ではありません。

これは、より深くアルコール依存症や回復を理解する上での切り口ともなる言葉です。


 

 

●再飲酒に至る精神的問題

アルコール依存症者を再飲酒に陥らせる心の問題は下記です。

1)恨み
2)不正直
3)批判
4)自己憐憫
5)不寛容
6)ジェラシー
7)怒り
8)恐れ

 

 

「スツールと酒瓶」 より

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・スツール=3本足の丸椅子
1本でも欠けると倒れるが、3本がしっかりしていると力学的に1番安定している。
故に、1・2・3ステップの1つでも欠けると意味をなさないが、それが1体となれば、こんなに安定した力はないという意味

 

・ボトル=8本の毒酒の意味
再び酒に手をつける危険な性格上の欠点
(恨み、不正直、批判、自己憐憫、不寛容、ジェラシー、怒り、恐れ)

 

AAの4ステップ以後は、この問題を克服するプログラムに他ならないのです。

 

断酒会で体験談を語り、仲間や家族会員の体験談を聞く事、そして「自分を改革する努力をし、新しい人生を創ります。」という事も、まさしくこれを意味しています。

 

 



☆いわゆる「13ステップ」について


AAなど12ステップグループで、仲間うちで「13ステップ」という言葉がよく使われます。

12ステップグループのステップは1~12までで、13ステップなどはありません。


しかし、回復段階の浅い時期での異性関係(恋愛)などは、S.L.I.Pの原因ともなりかねないという意味で、それが原因でスリップに陥った仲間などに対して「13ステップにハマった」など表現する事があります。


この原因は、回復の為に必要な原点や 等身大の自分 が、見失われ易いためです。

したがって断酒後間もない時期の恋愛などは危険が伴うわけで、それを戒める意味から生まれたものが「13ステップ」という言葉なのです。

あくまでも、仲間うちで使われる言葉であって、正式な用語などでもありませんし、AAの文献などにはありません。


しかしこれも「S.L.I.P」という言葉からの関連もあり、付け加えました。

あくまでも、断酒間が無い時期の事ではありますが・・・・。



 


●参考になる情報など

 

・AA(Alcoholics Anonymous)
 http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/

 


今後も、少しずつ、このノートを整備して行きます。

 


元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より

 

 

 

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